培養幹細胞治療とは

培養幹細胞治療は、少量の脂肪から幹細胞を採取し、体外で増殖させてから患部に注射で投与する、再生医療のひとつです。軟骨がすり減ることで発症し、日常生活へも支障を与える変形性膝関節症の治療において、痛みの改善に有効、かつ膝の手術よりも低侵襲というメリットから、導入する医療機関が近年増えています。
膝関節内に投与された生きた幹細胞が、炎症や疼痛抑制に働くため、症状や関節機能の改善が期待できます。
<培養幹細胞治療の手順>
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1.脂肪の採取
患者さまの下腹部の目立ちにくい箇所を選び、幹細胞源となる豆粒大の脂肪組織を吸引します。
※局所麻酔下、15~20ほどで終わる処置で、入院の必要はなく、当日歩いてご帰宅いただけます。 -

2.幹細胞群の分離
クリーンルーム完備の細胞加工施設にて、採取した脂肪組織から幹細胞群を分離させます。
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3.幹細胞の培養
分離した幹細胞群から幹細胞のみを抽出し、6週間ほどかけて培養します。
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4.治療
培養された幹細胞は凍結されてクリニックに届くため、治療直前に解凍します。
幹細胞は他の注射治療と同様の注射器(針)で、関節内に投与可能です。
こんな人におすすめ
ひとつでもあてはまる人はご相談もしくはご検討ください。

□ 変形性膝関節症と診断されている□ ヒアルロン酸注射が効かない□ 安静にしていても痛みがある□ 小走りができない□ しゃがむこともつらい□ 人工関節を勧められているが、受けたくない□ 骨切り術を受けたが、痛みが再発した
当院が培養幹細胞治療を扱う理由
上記のような患者さまに当院が培養幹細胞治療をおすすめするのには、理由があります。

理由2、持続的な改善効果が認められる
活きた細胞で治療する方法ということもあり、幹細胞が働いている間は改善効果の持続が期待できます。当グループでは治療から1年後までの経過を追っていますが、痛みの体感を数値で表した評価基準のひとつ「VAS-Pain」では、1年後には痛みスコアの平均値が半分ほどにまで低下。その間、改善が続いていることが分かっています。

理由3、培養するため、体への負担が最小限
脂肪由来の幹細胞治療としては、培養せずに幹細胞群を膝へ投与する治療法もあります。
当グループでも当初はこの非培養法を行っていましたが、その場合、必要量の幹細胞を確保するためには200~300mLの脂肪組織を吸引しなければならず、それだけ体への負担は大きくなります。培養幹細胞治療では増殖させることができるので、豆粒大の脂肪組織を吸引。少ない負担で、より多くの幹細胞を得ることができるのです。
また、変形性膝関節症に対する非培養群と培養群を比較したところ、培養幹細胞治療に同等以上の有効性が認められています[2]。
当院の培養幹細胞治療の特長
当院では、最大2億セルの幹細胞培養と凍結保存で、適切な細胞量の投与を計画立てて実施することや、将来に備えてストックすることが可能です。
細胞数だけでなく、幹細胞の質や品質管理も重視した治療をご提供しています。
| 当院の幹細胞培養 | 一般的な幹細胞培養① | 一般的な幹細胞培養② | |
|---|---|---|---|
| 細胞数 | 最大2億セルまで 培養可能 |
約2,500万個〜 最大1億個 |
約1,000万個〜 5,000万個 |
| 保存・ 輸送 |
凍結保存・適切に 管理して輸送細胞を守る環境で、 輸送時のダメージを最小化 |
冷蔵で 生きたまま保存 |
凍結保存 |
| 培養 期間 |
約6週間 | 約3〜6週間 | 約6週間前後 |
| 細胞の 質 |
増殖能が高く、 老化細胞が 少ない細胞 |
一般的な細胞の質 | 一般的な細胞の質 |
| 培養の 質 |
無血清培養 | 患者さま自身の 血液を使用 |
一般的な培養 (ウシ血清など) |
| 治療の 特徴 |
分割使用・凍結保存にも 対応しやすい |
フレッシュ志向 | 初回培養分を 保存して使用 |
| 当院の 見解 |
細胞数・品質管理・ 運用のしやすさを満たす |
フレッシュ細胞は輸送時に ダメージがある |
─ |
特徴①研究に基づく細胞数を投与
特徴②細胞の質も重視
良好な治療結果を示した患者群に投与した幹細胞には、増殖スピードが速い・分化能力が高い・老化細胞が少ないという共通の特徴が確認されています[7]。
当院では細胞の数だけでなく、細胞の質も重視した幹細胞培養を採用しています。


特徴③劣化しにくい凍結幹細胞
生きた細胞と凍結した細胞の違いについて細胞加工物製造業者が検証したところ、生輸送より凍結保管の方が劣化スピードは緩やかなことが分かりました。
つまり、幹細胞に関しては凍結する方が長期的に良質な状態を保持できることを示しています。


安全性や治療後の注意点
脂肪の採取量も少量で、治療は注射で行えるため、どちらの処置でも入院の必要はなく日常生活への大きな影響はありません。ただし、リスクを高めないために以下のことにご注意ください。
脂肪採取後
●むくみがひどくなることがあるため、当日~翌日は飲酒をお控えください。●入浴は1週間お控えください(当日は患部に水を当てない洗髪や下半身のみのシャワーなどは可。全身のシャワーも3日後以降可能です)。●内出血やむくみ、触った質感が硬くなるなどの症状が現れますが、通常の経過症状で1ヵ月ほどで治まります。
治療後
●治療当日の入浴や飲酒はお控えください(シャワーは全身可能です)。●激しい運動、マッサージなどは、腫れがひどくなる可能性から、2~3日はお控えください。●安静にし過ぎると関節が動きにくくなることがありますので、膝を曲げ伸ばしする運動などは積極的に行ってください。
治療に伴うリスク
患者さまの自己細胞を用いる治療で拒絶反応などのリスクは少なく、また幹細胞を培養しても非培養のケースと比べても有害事象のリスクの高まりは見られないと、海外の研究でも報告があります[2]。
例えば、脂肪採取では内出血やむくみ、触った質感が硬くなるなどの症状が現れたり、幹細胞の投与後も腫れや痛み、皮下出血などが起こる可能性が考えられます。これらは通常起こり得る経過症状ですのでしばらくすれば落ち着きます。
ただし、医療行為である限りリスクがゼロではありません。脂肪塞栓症(血中に脂肪が混入し血管がつまる)や感染、神経や血管の損傷などのリスクも考えられます。当グループの症例において、これまで重篤な副作用は確認されておりませんが、経過でご不安なことがありましたら、ご遠慮なくご相談ください。
よくある質問
手術を勧められていますが良くなりますか?
ヒアルロン酸注射が効かなくなり、人工関節の手術を勧められているという患者さまは、多くご来院されています。当グループのデータでも、培養幹細胞治療を受けられて1年の経過を観察できたケースでは、進行期以降が93%を占めています。
そうした手術を勧められているケースでも治療が奏功し、杖なしで歩けるようになった方や、スポーツ競技に復帰された方もいらっしゃいます。効果については個人差があり、治療前の膝の状態によっても変わってくるので明言はできませんが、必ず事前に詳しく診断し、効果の見込みをご説明いたします。
高齢でも治療できますか?
ご高齢の方でも受けていただける治療法です。実際、当グループでは90歳以上の方も受けられています。
年齢的な体力のご不安があるかもしれませんが、培養幹細胞治療は脂肪の採取量もごくわずかですし、入院や日常生活に復帰するための歩行訓練のようなリハビリも必要ありません。治療後に膝関節を動かしたり、筋力を維持するための体操などは行っていただけますが、ご高齢でも問題なく行える負荷の運動ですのでご安心ください。
半月板の手術をしていますが受けられますか?

半月板の手術歴があっても培養幹細胞治療を受けられている方は複数いらっしゃいます。半月板損傷や部分切除術の影響で、二次的な変形性膝関節症となっている方も多いため、その治療としては有効な治療かと考えます。
手術で言えば、同じく靭帯損傷や関節鏡視下のクリーニング手術、骨切り術などを受けられていても、検討はいただけます。人工膝関節置換術を受けられている場合だけは適応外となりますこと、ご了承ください。
ただ、どのケースも実際に治療可能かどうかは、治療前の関節内の状態によっての判断になります。まずはご相談いただければと思います。
PRP療法とどう違うのでしょうか?
PRPも培養幹細胞治療も再生医療分野の治療ではありますが、治療に用いる成分が異なることがまずあげられます。
培養幹細胞治療は患者さまの脂肪組織に存在する幹細胞を使用するのに対し、PRP療法は血液内の血小板の作用を利用します。変形性膝関節症に対する治療の場合、関節の変形がそれほどでもなければPRP療法で十分効果が期待できますが、重度の場合は培養幹細胞治療の検討になってくるかと思います。
一方で、培養幹細胞治療は痛みの軽減を実感するまでの目安が1~3か月ほどがですが、PRP療法は1ヵ月程度という即効性の違いもあります。当院では膝の状態や患者さまのご希望に合わせて、治療法や治療プランを検討しています。
当院では、PRPを濃縮して用いる「PRP-FD(PFC-FD)注射」を採用しています。詳しくはこちら
| 培養幹細胞治療 | PRP療法 | |
| 治療材料 | 脂肪(幹細胞) | 血液(多血小板血漿) |
| 適応 | 軟骨への作用も視野に入れた、根本的な治療を望む方 | 今の痛みや炎症の抑制を優先したい方 |
| 即効性 | 1~3か月 | 約1ヵ月 |
軟骨は修復されますか?
費用について
詳しい費用については、料金ページにてご案内しております。また、当院の治療は自由診療になりますが、医療費控除制度が適応される場合があります。併せて内容をご確認ください。
脚注
- [1]∧Pers YM, et al. Adipose Mesenchymal Stromal Cell-Based Therapy for Severe Osteoarthritis of the Knee: A Phase I Dose-Escalation Trial. Stem Cells Trans Med 5: 847-56. 2016.
- [2]∧Naomasa Yokota, et al. Comparative Clinical Outcomes After Intra-articular Injection With Adipose-Derived Cultured Stem Cells or Noncultured Stromal Vascular Fraction for the Treatment of Knee Osteoarthritis. American Journal of Sports Medicine. 2019 Aug 2.
- [3]∧Koh YG,et al. Clinical results and second-look arthroscopic findings after treatment with adipose-derived stem cells for knee osteoarthritis. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2015 May;23(5):1308-16.
- [4]∧Chris Hyunchul Jo et al. Intra-articular injection of mesenchymal stem cells for the treatment of osteoarthritis of the knee: a proof-of-concept clinical trial. Stem Cells. 2014 May;32(5):1254-66.
- [5]∧Chris Hyunchul Jo et al. Intra-articular Injection of Mesenchymal Stem Cells for the Treatment of Osteoarthritis of the Knee: A 2-Year Follow-up Study. Am J Sports Med. 2017 Oct;45(12):2774-2783.
- [6]∧Liangjing Lu et al. Treatment of knee osteoarthritis with intra-articular injection of autologous adipose-derived mesenchymal progenitor cells: a prospective, randomized, double-blind, active-controlled, phase IIb clinical trial. Stem Cell Res Ther. 2019 May 21;10(1):143.
- [7]∧Sun H, Zhai H, Han K, et al. Clinical outcomes of autologous adipose-derived mesenchymal stem cell combined with high tibial osteotomy for knee osteoarthritis are correlated with stem cell stemness and senescence. Journal of Translational Medicine. 2024;22:1039.




